HACCP時代の食品加工と微生物 -No.88- 食品関連企業における微生物検査の意義(4) 東京水産大学食品生産学科教授 藤井建夫
小型球形ウイルスが増加の最近の食中毒  図1は最近の食中毒発生状況(事件数と患者数の変化)を示したものである。この図からは大まかに次のような傾向が読みとれよう。 1995年を境としてその前後で食中毒の発生傾向に大きな違いがあり、1995年までは年間の事件数はやや減少傾向がみられる。 患者数は減少傾向が認められるわけではない。したがって1件当たりの患者数はむしろ増加している。1995年までは腸炎ビブリオ、サルモネ ラ、ブドウ球菌がトップ3を占めていた。1996年以降は腸炎ビブリオ、サルモネラ、カンピロバクターを中心に食中毒発生件数の急増が認め られる。?1999〜2000年以降は腸炎ビブリオ、サルモネラの発生件数・患者数が減少してきた。それに代わり、小型球形ウイルスが増加、 2001年には患者数でトップになった。患者数にみられる1996年および2000年の大きなピーク事件がいかに大きなものであったかが分かる。  2000年の統計をもとに原因食品別の発生状況(2人以上の事例、表1)を見ると、件数では魚介類が159件(原因判明数905件の17.6%)、 次いで複合調理食品が85件(16.9%)、野菜およびその加工品(6.1%)の順で多く、患者数では雪印事件のため、乳類およびその加工品が 13,462人(31.8%)と圧倒的で、次いで複合調理食品が3,550人(8.4%)、魚介類加工品(2,841人、6.7%)、卵類およびその加工品 (1,042、5.3%)であった。 同年の原因微生物別の発生件数(表2)(2人以上の事例、1,163件、40,210人のうち)では、サルモネラ302件 (24.4%)、腸炎ビブリオ260件(21.0%)、小型球形ウイルス242件(19.5%)、カンピロバクター95件(7.7%)の順に多い。患者数では トップがブドウ球菌の14,714人(34.8%)であるが、これは加工乳による食中毒のため。次いで小型球形ウイルス(8,077人、19.1%)、サルモ ネラ(11,392人、35.5%)、腸炎ビブリオ(3,458人、8.2%)の順であった。
食中毒の発症菌量は菌によって大きく違う準備中