解説&解答
魚の鮮度に関する問題【正解】【

解説この問題は平成10年度管理栄養士国家試験に出されたものである。この問題では、魚介類の鮮度低下を、比較的初期の鮮度の低下

(魚介類自身が元々持っている筋肉や内臓の酵素(自己消化酵素)による変化)と、それに遅れて進行する腐敗(細菌の作用による変化)と

に区別して理解していることが重要である。このことについては、本紙935号で詳述しているが、もう一度触れておきたい。

 魚の死後の変化は一般に、硬直、解硬、軟化、腐敗という順に進行するが、そのうち、硬直、解硬、軟化までは自己消化酵素によって起こ

り、その後の腐敗は細菌によって起こるものである。

 一口に鮮度が悪いといっても、刺身とアジの一夜干しではまったく意味がちがう。刺身で問題となる鮮度はいわゆる活きの良さで、生鮮度

ともいわれ、これには細菌は関与しない。一方、アジの一夜干しの場合には食べられるかどうか(腐敗の程度)という意味での鮮度で、この

鮮度低下は細菌によって起こる。したがって鮮度低下の物差しも両者で異なり、生鮮度の目安としてはATPの分解の程度を指標にしたK値が最

もよく用いられている。

 魚肉のATPは酵素的に分解されて、ATP?ADP?AMP(アデニル酸)⇒IMP(イノシン酸)⇒HxR(イノシン)⇒Hx(ヒポキサンチン)という順に

変化していく。この分解の経路はすべての魚で同じであり、一連の反応はIMPの分解速度で左右される(律速される)。したがってATPからIMP

までが魚肉中の主成分である間は生鮮度が良好であるが、時間経過とともにHxR、Hxが増加すると生鮮度は低下したことになる。これらのATP関

連化合物の総量はほぼ一定であることから、次式のようにこの総量に占めるHxR+Hxの百分率を求め、これをK値と呼んでいる。

 K値(モル%)=(HxR+Hx)x100/(ATP+ADP+AMP+IMP+HxR+Hx) K値は低いほど生鮮度の良いことを意味し、即殺魚では10%以下、刺身用には20%

以下が適当であり、20〜60%は調理加工向けの鮮度とされている。

 一方、腐敗の指標としては、直接細菌の数(生菌数)を調べたり、その腐敗産物であるアンモニア、トリメチルアミン、揮発性塩基窒素量など

が用いられる。なおトリメチルアミンは海産魚に特有の腐敗産物で、トリメチルアミンオキシドという物質が細菌によって還元されてできるもの

である。なお問題中のmg%はmg/100gのことである。
HACCPに関する問題【正解】【1】

解説 これは平成12年度管理栄養士国家試験の問題である。HACCPについては本紙932号および988〜994号を参照されたい。

@HACCPは危害分析重要管理点の英語(Hazard Analysis Critical Control Point)AEUや米国では、食品によって導入が義務化されているが、

わが国では各メーカが自主性に承認申請する制度となっている。

BHACCPは微生物による危害防止だけでなく、その他の生物的危害(寄生虫など)、化学的危害、物理的危害にも適用される。

C本システムを導入した食品工場では、重要管理点を監視することで安全性が確保されるので、製品のすべてを検査する必要はない。

D本システムではあらかじめ決められた項目について記録をしておくことが重要である。
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食品の保存に関する問題【正解】【4】

解説 この問題は平成12年度管理栄養士国家試験に出されたものである。ガス置

換包装については本紙945号、pHについては944号を参照されたい。

a  酸素を除去しても嫌気性菌の増殖は防止できない。

c 主な病原菌や食中毒菌は、表1に示すようにpH4.0〜5.0以下では増殖できない。

d ガス置換包装は、微生物の増殖抑制のほか、マグロやハマチ、食肉などの肉色の退化防止、脂質の酸化防止などの効果がある。

微生物とその増殖に関する問題 【正解】 【2】
 解説間違っているのはb。腸炎ビブリオは好塩性細菌であり、淡水中では増殖せず、海水中でよく増殖する。
微生物の増殖pH域についてはNo.944で、また増殖温度域については本紙のNo. 938で触れたので参照されたい。ここでは、主な食中毒細菌の増殖pH域と
温度域についてそれぞれ表1、表2に示しておく。(なおこの表1は前号に掲載漏れの表1と同一のものである。)この問題は平成11年度管理栄養士国家試験に
出されたものである。
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同じ年に類似の問題がもう1題出題されている。正解】 【3】
解説aの水分活性とは食品中の自由水の割合を示す値であり、微生物の増殖に必要な水分量ではない。水分活性については No. 942で解説したので参照されたい。表3に主な食中毒細菌の増殖水分活性の下限値を示しておく。dの定常期(静止期)とは菌数が一定レベルを保持している時期をいう。細胞数が指数的
に増加する時期は対数期である。
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食中毒細菌に関する問題【正解】 【2】
 【解説 この問題は平成11年度管理栄養士国家試験に出されたものである。b サルモネラは非好塩菌である(表4参照)。d ウエルシュ菌はClostridium属で
あるので、嫌気性の芽胞(胞子)形成菌である。eエルシニア菌(Yersinia enterocolitica)は低温性の食中毒菌である。増殖温度範囲はおおよそ−1.5〜44℃と広い。主な食中毒細菌の増殖温度域を表4に示しておく。

表1 主な食中毒細菌の増殖pH域
増殖pH

表2 主な食中毒細菌の増殖温度域
増殖温度域℃
細菌
細菌
腸炎ビブリオ
黄色ブドウ球菌
サルモネラ
カンピロバクター
病原大腸菌
ウエルシュ菌
ボツリヌス菌
タンパク分解菌
タンパク非分解菌
セレウス菌
リステリア
4.8〜11
4.0〜9.8
4.5〜8.0
5.5〜8.0
4.4〜9.0
5.0〜9.0

4.6〜8.5
5.0〜8.5
4.9〜9.3
4.5〜9.5
4.8〜11
 4〜10
3.7〜9.5
4.9〜9.5
4〜9
5〜9

4.6〜9
5〜9
4.3〜9.3
4.4〜9.4
腸炎ビブリオ
黄色ブドウ球菌
サルモネラ
カンピロバクター
病原大腸菌
ウェルシュ菌
ボツリヌス菌
 タンパク分解菌
 タンパク非分解菌
セレウス菌
リステリア
5〜44
6.5〜5.0
5〜45.0
32〜45
2.5〜45.6
1.5〜52.3

10〜48
3.3〜40
4〜50
−1.5〜44
5〜44
7〜50
5.2〜46.2
30〜45
7.0〜49.4
10〜42

10〜48
3.3〜45
4〜55
−0.4〜45

A:厚生省資料  B:FDA資料