重要な褐変反応
 褐変反応はさまざまではありますが、食品を加工する上でとくに重要な反応がいくつかありますので、それらについて説明します。(表参照)
(1)ポリフェノール成分による褐変
 植物体にはフラポノイド、アントシアン、タンニンといったいわゆるポリフェノール成分が多く含まれております。これらは酸化されると褐変を起こしやすい性質のものに変化します。この酸化の過程で助けるのが酸化酵素ですから、果実、そ菜類の缶詰や冷凍食品を製造する場合は、まず、プランチングなどの加熱処理によって酵素を失活させるわけであります。しかし、酵素が失活した状態でもポリフェノール成分が空気中の酵素によって徐徐に酸化され、酸化生成物がタンパク質と反応して食品や飼料の品質を損うことがあります。
(2)油脂の酸化による褐変
 食用油または食品中に含まれる油脂は酸化されやすく、酸化されて生ずる過酸化脂質は有毒ですので、油脂の酸化を防止する努力が払われております。油脂の酸化過程ではむしろ漂白現象が起りますが、一方過酸化脂質が分解すると褐変の原因となるアルデヒドが生成します。微量のアルデヒドは食品の香気成分として重要ですが、量が多くなると異臭の原因となり、またタンパク質などと成分間反応を起こして褐変します。
(3)糖類による褐変とメイラード反応
 砂糖をそのまま100数10度に加熱しますとカラメル化反応を起こして褐変すると同時に、特有の甘い香りを発生します。糖類とくにブドウ糖や果糖のような還元糖は反応しやすい物質で、単独で加熱されても褐変しますし、アミノ酸やタンパク質と混合した状態で100℃程度に加熱しますと褐変が起ります。また、長時間貯蔵しても褐変します。この反応は非酸素的褐変の代表的なもので、アミノカルポニル反応とよばれますが、フランスの生化学者L.C.MAILLARDが1912年に初めて報告したのでメイラード(またはマヤール)反応ともよばれます。この反応は多くの加工、調理食品で起る重要な反応ですが、土壌などの自然環境中でも起っており、最近ではわれわれの体内でも起っていることが明らかになり、老化や成人病との関連で注目されています。
(4)その他の褐変
 ビタミンCであるアスコルビン酸は、還元糖と性質が類似していて、酸化されると褐変しやすい物質に変りますから、アスコルビン酸を添加するときは注意する必要があります。肉色素のミオグロビンは加熱すると酸化されて褐色に変ります。したがって肉や魚を生の状態で取扱う場合は、ミオグロビン酸化が起らないように注意する必要があります。 褐変を防止するには